2023.03.16
[相続土地国庫帰属制度]が4月27日からスタートします🏠
相続した不動産や相続予定の不動産は皆さんどうされますか。
「後で考えよう」「解体?それ以外どうしていいかわからない」「何をするにも面倒」
2023年4月27日から相続または遺贈で取得した土地を国に引き取ってもらう[相続土地国庫帰属制度]が始まります。
それだけ聞くと処分にどうしようかと困っている方にはとても嬉しい制度ではありますが、注意しなければいけない
点もあります。引き取ってもらうには、一定の要件を満たす必要があります。そのうえで承認されないと引き取って
もらえませんのでどのような要件があるのか少しまとめていきたいと思います。
創設の背景
創設の背景は、利用予定のない相続土地を手放したい方が増えていたり、その多くは望まず土地を
相続している現状です。そのようなケースではその負担感や物理的な理由で管理不全を招き、
近隣住民へも影響を与えたりすることも多くあります。
また所有者を特定できない土地〈所有者不明土地〉なども年々増え続け、社会問題化しているために
こうした土地を国へ帰属されるための制度が創設されたということになります。
日本全体で九州地方くらいの所有者不明土地がありるので、かなりの面積ですよね。
申請や承認の一定要件とは
管理を国へ移転させるこの制度ですが、 だれでも どんな土地でも 申請できるわけではありません。
却下要件と不承認要件もあり、申請できても却下されたり不承認となる場合もあります。
○申請のできる人
相続や遺贈によって取得した相続人が申請することができます。
売買や贈与で取得した個人及び法人は対象となりません。
単独所有の場合は特別問題ありませんが、複数で共有で取得している場合は
共有者全員で申請する必要があります。
共有部分の全部を相続で取得していなくても(自分は相続取得だが、他の共有者は違う等)
相続で取得した共有者全員と共同で行うときに限り申請することができます。
申請できない土地とは※超大事
上記のように相続や遺贈で取得した土地でも却下要件に該当する場合は申請ができません。
(1) 建物の存する土地
(2) 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
(3) 道路その他の他人による使用が予定される土地(※)が含まれる土地
墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供される土地
(4) 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
(5) 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属または範囲について争いがある土地
これらの要件のいずれかに該当する場合には、法務大臣によって申請が却下されます。
となっております。
(1)なんかの場合そもそもつまずきそうですが、建物などあるといけないようです。
現在同時に問題になっている事は 空き家🏠の問題 なんですよね。
解体するにも費用は掛りますし、その費用を捻出するだけの価値が不動産にあればいいんですが
地方の場合は難しい場合もあります。
(5)なんかも地方には手厳しい問題です。境界明示なんて全然なかったりします。
申請しても不承認になる土地
(1) 勾配が30度以上あり、かつ、高さが5メートル以上の崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり
過分の費用または労力を要するもの
(2) 通常の土地の管理または処分を阻害する工作物、車両または樹木その他の有体物が地上に存する土地
(3) 除去しなければ土地の通常の管理または処分をすることができない有体物が地下に存する土地
(4) 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理または処分をすることができない土地
(隣接所有者によって通行が現に妨害されている土地、所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地)
(5) 通常の管理または処分をするに当たり過分の費用または労力を要する土地
・土砂崩落、地割れなどに起因する災害による被害発生の防止のため、土地ん現状に変更を加える措置を講じる
必要がある土地
・鳥獣や病害虫などにより、人の生命や身体、農産物などへの被害が生じる恐れがある土地 など
これらの要件のいずれかに該当する場合には、法務大臣によって不承認処分とされます。
相続土地国庫帰属制度申請の流れ
◇この制度の利用の流れは以下のようになります。
1承認申請 ⬇ |
・相続または遺贈により土地を取得した相続人が承認申請書を提出 ・申請時に審査手数料を納付する |
2法務局の職員による 書面審査・実地調査 ⬇ |
・却下要件・不承認要件に基づき 審査・調査を実施する |
3法務大臣による承認 ⬇ |
・承認通知・負担金額の通知が届く
|
4申請者が負担金を納付 ⬇ |
・負担金額の通知を受け取ってから30日以内に納付する |
5国庫帰属
|
・所有権移転登記嘱託 ・国庫に帰属した土地は、普通財産として国が管理、処分する |
(出所)法務省民事局の資料を基に作成
◇相続土地国庫帰属制度の負担金
分類 | 負担金額 | 例 |
宅地
|
面積に関わらず20万円 ただし、市街化区域、用途地域が指定されている地域の宅地については面積に応じて算定 |
100㎡ 約55万円 200㎡ 約79万円 |
田・畑
|
面積に関わらず20万円 ただし、市街化区域、用途地域が指定されている地域、農用地区域、土地改良事業等の施工区域内の農地については、面積に応じて算定 |
500㎡ 約72万円 1,000㎡ 約113万円 |
森林
|
面積に応じて算定 |
1,500㎡ 約27万円 3,000㎡ 約30万円 |
その他(雑種地・原野等)
|
面積に関わらず20万円 |
(出所)法務省民事局の資料を基に作成
負担金額の例は、同省ホームページ「相続土地国庫帰属制度の負担金」の
負担金額の自動計算シートにより計算
いかがでしたでしょうか。
制度自体は始まってみないとなんとも言えませんが、少なくとも地方で感じている相続
不動産処分のしづらさを考慮すると課題解決にはもう一歩と感じるところではあります。
国へ帰属させ管理処分すると言うことはやはりどんな土地でもどうぞというわけには行かないでしょう。
管理する費用もかかるのもわかりますが、上記の条件を満たす申請できるくらいの土地であれば今まで通り
不動産業者へ頼んで処分するほうが負担は軽いように感じます。
要件を満たせない不動産は、今まで通り私達を含めて業者さんへご相談いただくことになるのかなと思っています。